以前勤めていた 職場(健康ランドの警備員)でのこと…

確か 夜中の1時前頃だったか 二回目の館内巡回を終え 従業員出入り口から外に出て

駐車場の巡回をしていた時だった 車の台数は というと普通の日曜日なら10時頃から

ダダッと減るのだが その日は連休最後ということもあり なごり惜しいのか まだ結構

車が停まっていた。…ランド玄関前をサラッと流し 左側の通路から立体駐車場に入る。

3歩も歩いただろうか ふと右端の奥に目をやると 車と車の間に人(男)がしゃがみこ

んでいるのが見えたので立ち止まった。 まさか?…車上荒らしか?と一瞬思ったと同時

に緊張が走った。 いやいや待てよ!と じっくり様子を見ようと 車の陰にかくれて見

ていると 何かスプレー缶のような物で 車のドア付近に噴きつけるているのが確認でき

た。しかも 一台ではなく 何台もだ!… よし!と その時私は 当然 緊張していた

のだが その反面 決して良いことではないが…「武道の稽古ができるぞ〜!こんなええ

チャンスは二度とない!そうや とにかくケガさせたらあかん!ケガさせないように捕ま

えるんや!」と この後の展開が楽しみで ワクワクしている自分がそこにいたのも ま

た事実だ。… が その後 そんな思いが 大間違いであったことに気付くのだが… 話

を戻して… その男はというと 相変わらず あまり他の客を気にすることもなく手に持

っているスプレー缶で 車のドアに噴きつけている 初めはラッカー塗料かと思ったが 

かなり近付いて よくよく見ると 色も付いてないし ドアではなく取っ手に噴きつけて

いるということがわかると同時に そのスプレー缶が キン○○○ルという殺虫剤である

ということも はっきりと見て取れた。 とにかく私は ぜったいケガさせたらあかん!

ケガさせないで捕まえるぞ!と強く自分に言い聞かせ 少し遠い間合いから 高ぶる気持

ちを抑え 「なにしてんのん?」と冷静さを装い 声をかけた。 その男は 一瞬ためら

いながら 散歩してるねんけど…などと言うので 私は かなり近付いて「あれ他人の車

やなぁ 何してたん?」と直球を投げた。すると その男は急に目が据わり 開き直って 

「そうや! これで あっちこっち噴きつけてたんや〜!」と そう言うたかと思うと 

「こうやって やったんじゃ〜」と言いながら私の顔をめがけて 殺虫剤を噴きつけてき

た。(俺は虫か!…)私は思わず 手で払い その殺虫剤を奪おうとしたが 男はすぐ察

知するのか かなり敏捷に動いた。たぶん私の捕まえる気が 満々!というのが その男

に伝わったのだろう 次に男は「なんじゃあお前 やるんか〜?」と言ってきた。 私は

 あまりやりたくなかったのだが 話してもどうにもならないと思ったのか また今更引

き下がれないし おうっ やるかっ!と返した。(その時たぶん やりたくないという気

持ちから 私には あまり緊張感というか危機感がなかったように思う。)そのとたん 

そいつは もう一度殺虫剤を 噴射し すぐ下がったかと思うと 飛び込んできて 胸を

一撃された。 こっちはまったくダメージはなかったが この時 素手ではなくナイフだ

ったら私は確実に死んでいただろうと 後 反省した。…そして 今度は かなり振りか

ぶり もう一発突いてきたので かわすと同時に腕を取り そのまま投げに入ったが 力

ずくでやろうとしたのと 投げたるという意思を感じ取られ 身体が固まり 逆に引っ張

り返されたので反対に投げられるかと一瞬ヒヤッとした…その後そのままもつれ合いなが

ら 掴み上げ 叩き落そうとしたが 無意識に防御するのか 男はうまく丸まり 路面に

コロがった そこからはよく覚えていないが(いつも日野先生がおっしゃっていた「違う

ことをしないで 相手の力に逆らわず そのまま流れるように」… と でも 私にはそ

んなことはできません。とにかく夢中だった。)そして知らないうちに 私は男の頭を両

膝ではさみ 両手で男の右腕を背中のほうにまわして ねじ上げていた。…

この一部始終は 偶然にも防犯カメラに写っていて その後 従業員の方にお願いし録画

してもらいました。機会があれば また ここにアップしたいと思っております。…

そして 私はこの格闘で 痛めていた左肩を更に悪化させ 追い討ちをかけるように右肩

まで痛めてしまいました。 がしかし 幸運だったのは この両肩を痛めたお蔭で 身体

の使い方がリアルに稽古できるようになったこと そして前にも増して武道を深く理解で

きるようになったこと。 この体験は 私にいろんなことを教えてくれた。今では ほん

とうに感謝しております…。
 自宅でのこと…  (体験談を基に代筆)

夜中の12時30分ごろ 近所の人から電話があった…

もしもし…松井さん?今 お宅に変な男が塀をよじ登ってそっちに入っていったよ!松

井さんは 早々に電話を切り 傘を持って 幅約1メートルほどの裏庭にまわると 知

らない男が こちらの気配にまったく気付くことなく 夢中で風呂場を覗こうとしてい

るではありませんか!それには 日頃 紳士的な松井さんも激怒!「こらーっなにしと

るんじゃ〜」と一喝すると 男は飛び上がるように驚き 逃げようと一目散によじ登っ

てきた塀にしがみついた。当然 逃がすものかと松井さんは 男が武器を持っていない

のを確認し 傘をすて 右手で 男の襟首をつかみ引きずり下ろした。そうすると男は

必死で腕を振り回し抵抗してきた。で 松井さんは その腕まわし?かパンチのような

攻撃を 軽くさばき 一撃を(当然 加減している)を食らわしたが アドレナリン全

開の男はそう簡単には倒れない しかも抵抗は激しさを増すばかりだ。「くっそー」と

パニック状態になる寸前 松井さんは 右手中指に強い痛みを感じた…それがきっかけ

か? はっ!と我に返り冷静になれたといいます。そこで よし!と武道稽古を思い出

し あれをやってみようと 実践すると 相手をつかむことなくパンチを繰り出せたと

言っていました。つまり相手は動けない状態だったということです。…で パンチが数

発命中すると 男はたまらずダウン… そして髪の毛をつかみ外に引きずり出し うつ

ぶせ状態にして 馬乗りになり腕をねじ上げた。そして 尋問しているうちに 男の異

変に気が付いた。そうか!と松井さんは 教わったことを思い出した(うつぶせ状態で

体重をかけ押さえ込むのは 横隔膜をさけないと 呼吸困難で死に至ってしまうことが

ある。ましてや興奮状態で息が上がっているときはなおさらのこと…)そこで 体重を

男の腰のほうに移動した…。そうこうしているうちに警察がやってきた。…

松井さんは この男との格闘で 右手中指を骨折してしまいました。しかしながら 当

の本人は 一生に一度 有るか無しかの貴重な体験をさせてもらいましたし 今後の稽

古にたいへん役に立ちます!と 謙虚にも自信に満ちた笑顔が印象的だった…。
トップページにもどる
体験談

池島 常雄

昭和38年1月10日 生

松井 正和

昭和34年8月22日 生