過去日記から
某健康ランドの警備員の巻 6
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俺にとってランドは絶好の稽古場やった…
その日も週末で かなりの混みようだった。 確か 就業前に支配人から 前日に駐車
場で車上荒らしがあったので 外の巡回を強化してほしいとの要請があった…そんなん
で 俺は 早くその現場を見たいと思っていたのか 早々に館内の巡回を済ませようと
バタバタ動き回っていたように思う。そして1階を回って2階に上がり レストルーム
に行こうとしていたときだった… おーい!と呼ぶ声があったので 立ち止まり振り向
くと32,3歳ぐらいの男性が 何か言いたそうにこっちを見ていたので 俺は走って
戻り 近くに行くと その男性は 酒の匂いをプンプンさせながら ○○さん〇…(名
前)とボソボソ言って 誰かを 捜してほしいようだった。俺は よく分からなかった
が その方はいっしょに来られたんですか?と聞くと 俺の嫁や ちょっと呼んでほし
いねや… (なんやねん!用は館内放送してほしいんかい…クソ忙しいのに…)そして
俺はこう言った わかりましたそれやったら申し訳ないですが 下のフロントで言うて
もらったら助かります。そして更に すんません お願いします〜 と言って立ち去ろ
うとした瞬間 「おい! 待てコラァ〜」とまた 呼ばれたので 俺は(は〜?何か忘
れ物ですかね?とは なんぼなんでもボケられなかったが…)とにかく はぁ?と聞き
返すと その男性は お前 警備員ちゃうんか〜 そんなん聞くのが警備員やろうが〜
〜と大声で怒鳴り始めた…(え〜っそれちょっとちゃうやろ…)俺は いや〜ちょっと
忙しかったんで すみません!と言うと そいつは なんじゃコラ〜 とえらい勢いで
凄んできた。そして 右手で俺の胸を強引に押してきた。当然 以前の俺なら カチン
ッ!ときて 押されたら そのまま押し返そうとしていただろうが…その時ばかりは
まったく違った! 表現が し難いが そいつを冷静に見ている自分がもう一人いたよ
うな また 図々しくもう一つ言わせてもらうならば とにかく そいつとは ぶつか
っていなかった。なぜならば 当然 お客さんというのが前提だからなのだが…
そして 押されたとき 俺は その力に逆らわず 身体をゆるめた。すると その男性
は 前にグラッとよろけた。(突っ張り棒が外れた感じ…)それで余計に腹が立ったの
か 体勢を整えて また更に強く 押してきたので 先の要領で 今度はもっと押され
ている身体部分を感じながら ゆるめると 男性は 今度は前につんのめるようにコケ
かけて 階段から落ちそうになっていた。で つんのめった身体を起こした男性は 俺
の顔を見て ほんとうにハトが豆鉄砲をくらったような顔?今の言葉で言うと 目が点
に(これも古いか?)なっていたのを 今でも鮮明に憶えている。まぁその後は その
男性も落ち着いたので 俺が丁寧にフロントまで案内した…。
恐れ多くも このことを 日野先生に話たら 「うんうん!それはちょっとできてるで
」。と言っていただいたときは ほんまにめちゃめちゃうれしかったなぁ…
やはり日頃の武道の稽古が ガチガチだった俺を少しづつだが 変えてくれていること
を実感した瞬間だった…。